寒い時や精神的に緊張した時、不安を感じた時などに身体が震えるという経験をしたことは大抵誰でもあるでしょう。また激しいスポーツなどにより筋肉が疲労するとその筋肉が痙攣して震えが起こるということもあります。こうした震えは健康な人でも起こるもので原因が解消されれば治まります。
一方 何らかの病気の症状として起こる震えもあります。思い当たる原因のない震えが続く場合は医師に相談することをおすすめします。

震えのことを専門的には「振戦(しんせん)」と言いますが、特に手の震えは字を書いたり服のボタンを留めたりと言った細かい作業が難しくなるなど日常生活に支障を来すこともあります。震えにはいくつかの種類があります。それは以下のようなものです。
・安静時振戦・・じっとして特に何もしていない時に生じる震えです。
・運動時振戦・・箸を持って食事をする、ペンを持って字を書くなど
特定の動作をする時に生じる震えです。
・姿勢時振戦・・新聞を読む時のような腕を前に出して止めるなど
重力に逆らう姿勢をとった時に生じる震えです。
・企図振戦・・・テーブルの上のコップを取るなど何かをしようとした時
に生じる震えです。
手がコップに近づくにつれて震えが大きくなります。
このような震えの原因となる病気には以下のようなものが考えられます。
本態性振戦
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手の震えの原因として最も多いものです。運動時振戦や姿勢時振戦が生じますが震え以外に症状はなく高齢者に多いのが特徴です。震えの周期は比較的速く毎秒5 〜 9回程度。進行すると手だけでなく頭部や声が震えるようになることもあります。治療薬の服用で改善が十分でない場合は手術療法が検討されることもありますが、日常生活で特に不自由がないのであれば積極的な治療はせず経過観察となる場合もあります。
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パーキンソン病
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脳の黒質という部分の異常によりドパミンという神経伝達物質の分泌量が低下して起こる病気で、リラックスしていると起こり動作時は治まる安静時振戦が生じます。震えの周期はやや遅く毎秒4 〜 7回ほどです。初期には片側の手に生じ進行するにつれ両側、脚、頭部に広がっていきます。稀に運動時,姿勢時振戦を伴うこともあります。体が強張り動かしにくくなるなどパーキンソン病の症状は振戦以外にも様々ありますが、初発症状が手の震えであることはよくあります。医師に相談し早めに治療を開始することで進行を抑制することができます。治療は主にドパミンの補充療法です。
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甲状腺機能亢進症
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全身の代謝を亢進させる働きのある甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、手の震え以外にも動悸、暑がり、発汗量増加、食欲亢進、体重減少などの症状があります。
血液検査により甲状腺ホルモンなどの濃度を調べて診断します。治療法は薬物療法、手術療法などがあります。
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アルコール離脱症状
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アルコール依存のある方がアルコール摂取を中止すると離脱症状が起こりますが、その症状のひとつとして手の震えが生じます。アルコール摂取を再開すると治まりますが、根本的にはアルコール依存症の治療が必要です。アルコール依存症の改善は患者本人の意思だけでは極めて困難です。専門医への相談をお勧めします。
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書痙(局所性ジストニア)
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字を書く時 手が震えてあるいは強張って書けないといった場合は書痙が疑われます。特に人前で字を書く時に限って症状が悪化する場合には緊張による神経症(精神的ストレスが原因で起こる症状)と考えられます。 字を書く時以外にも手を使った特定の動作(キーボードを打つ、楽器を演奏するなど)を繰り返す職業の人は、その動作をしようとすると書痙とよく似た症状がおこるようになることがあります(職業性ジストニア)。従来このような症状も精神的ストレスが原因と考えられていましたが、脳の機能障害によって生じる異常な姿勢と筋肉の過剰な緊張によるものとする説が有力になっています。
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薬剤性振戦
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喘息の治療薬(気管支拡張剤)は姿勢時振戦や運動時振戦を生じさせることがある他、ある種の精神疾患の治療薬は安静時振戦を生じさせることかあります。
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以上のように手の震えの原因となる疾患の多くは命に関わるようなもので
はありませんが、日常生活に支障が生じるような場合は早期の治療をお勧
めします。
ストレスや疲労が原因で重篤な疾患が関係しないものについては
マッサージや鍼灸治療が有効な場合もあります。一度ご検討ください。

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